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2021/04/30

コクヨ社のラボ施設「THE CAMPUS」で次世代のオフィスワークを実現する共同研究中!

次世代高速通信規格「5G」の商用運用がスタートする1年以上前より、共同で5G活用の検討を重ねてきたテックファームとコクヨ株式会社。両社はこのたび、今年2月15日にオープンしたコクヨのラボ施設「THE CAMPUS(ザ・キャンパス)」に備えられた5G環境を活用し、「次世代のオフィスワーク」の共同研究を開始することになりました。

コロナ禍をきっかけに、新しいオフィスワークのあり方に注目が集まっています。ニーズの高まるロケーションフリーな働き方に対し、テクノロジーの貢献も期待されています。テックファームの5Gに関する知見と、コクヨのオフィスに関する知見を融合することで、どのような次世代のオフィスワークを実現するのか。本記事ではその一端を紹介します。

品川駅港南口を出てすぐにあるコクヨのラボ施設「THE CAMPUS(ザ・キャンパス)」
テックファームのブース。一般開放されているので自由に見学が可能。

オフィステクノロジーで「真の働き方改革」を

ひとつ目のソリューションは、小型コンピューター「ラズベリーパイ」と自走式ロボットを活用した未来のオフィスシステムです。コロナ禍でリモートワークを経験した人を中心に、さらに関心が高まりつつあるセルフマネジメントやワークスタイル管理。通常のオフィスワークにおいても、それらを積極的に取り入れられるようにしようというのが、5Gの“多数同時接続”という特性を活かしたこのソリューションです。

カメラの顔認識機能によって在席状況を把握し、長時間の着席や表情についてのフィードバックを行うことで、利用者は自分で気付きにくい自身の調子や状態を把握できるようになります。管理職や経営者にとっては、スタッフの健康状態やモチベーションを把握するより良い指標が得られます。これまで自己申告・自己管理を基本として行われてきた各々の状態の管理を客観的な情報提供がサポートすることで、より満足度の高い働き方が実現するでしょう。

カメラの顔認識機能で在席状況や状態を把握できる

また、自走式ロボットとアプリケーションを活用した社員同士のコミュニケーションシステムも開発中です。他の社員とコミュニケーションする際に、従来は席やフロアを移動し、場合によっては相手を探したり待ったりする必要がありました。リモートワークではそうした手間が省ける代わりに、やはり相手の置かれている環境や状態が見えづらくなったというデメリットもありました。

今回開発したシステムでは、まず話しかけたいと思った相手のもとへ、アプリで指示を出して自走式ロボットを移動させます。すると、アプリケーションに相手の状況や表情が映し出される機能によって、相手の忙しさや表情、周囲の状況などが確認できます。実際に話しかける場合、ロボットがさらに相手に近づき、ビデオ通話が開始されます。リアルな面会に近い情報量で様子をうかがいながらコミュニケーションができるのです。こうした映像による通話を気軽かつ快適に使用できるのは、5Gの“低遅延”という特性あってのことです。

自走式ロボットを活用したアプリケーション(イメージ)

3D空間の「バーチャルオフィス」に出社する未来

ふたつ目は、リモートワークの普及による新しい働き方をさらに発展させた「バーチャルオフィス」体験です。前述のとおり、オンラインでのコミュニケーションの課題は、リアルなそれと比べて情報量が格段に落ちてしまうことにあります。これを解決すべく現在研究開発を進めているのが、バーチャル空間に高精度な3Dアバターなどを登場させるバーチャルオフィスです。

バーチャル空間に教室を再現する「VR Classroom(仮称)」(テックファームグループの株式会社ギャラクシーズが開発中)

3Dデータをバーチャル空間でストレスなく動かすには、5Gにより実現する“高速大容量”の通信環境が不可欠となります。この技術が実現すれば、バーチャル空間にもうひとつの学校やオフィスを再現し、そこで現実世界と変わらないリアリティをもってコミュニケーションを行えるようになります。そのことにより、地方と都会の機会格差や通勤ラッシュなど、現在の労働環境から生まれる問題が解消される可能性があります。また、動画や模型などのデータもこれまでより容易に共有・体験できるようになり、学びや会議の在り方が根本的に変わるかもしれません。

自分にそっくりな3Dアバターをバーチャル空間で自在に動かせる(開発中)

現地に行かずにプロダクトの試作品をチェック

バーチャル空間はまだ開発段階ですが、現実世界にバーチャルを融合するMR(複合現実)については、すでに実現している技術もあります。たとえば、アメリカの企業Magic Leap社が開発した、MR(複合現実)ヘッドセットがその一例です。軽量なウェアラブルヘッドセットで、実物の対象にデジタルコンテンツを重ねながら自由に鑑賞できます。

MRヘッドセットを装着し、コクヨ製家具の3Dモデルを観賞

ラボでは、このデバイスを活用することでコクヨ製家具の3Dモデルを閲覧できます。これまでは直接現地で確認しなければならなかった製品の試作品などを、遠隔かつ複数人で確認できるようになります。この技術を応用することで、海外工場での製造業務を、現地に一度も訪れることなく完了するなど、これまででは考えられなかった仕事の仕方が生まれるかもしれません。

この共同研究で得た知見は、今後自社プロダクトなどの開発にも活用されます。私たちが目指すのは、働く人々が場所や移動時間にとらわれず、質の高いコミュニケーションとクリエイティビティを発揮できる次世代のオフィスワークの在り方です。その実現に向け、今後も5Gを活かしたサービスや製品の開発を進めていきます。

 

◯「THE CAMPUS」とは

「NEXT EXPERIENCE」(=長期的視点で社会課題解決に取り組んでいくこと)を活動指針に掲げるコクヨ株式会社のラボ施設で、同社の東京品川オフィスをリニューアルし、2021年2月15日にオープンした。未来につながる価値を探求するための実験・実践を行う場として、最先端の5G環境を整備しているほか、施設の一部を一般開放している。

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