新規事業の“芽”を、あらゆる手段でサポートしていきたい

2020年09月08日

[サービス]

 「病気などで減塩を余儀なくされている人をサポートしたい。」社会人になる直前の健診で特発性拡張型心筋症が発覚し、自身も減塩当事者として生活している湯野川恵さんは、そんな思いから減塩サポートサービス『さがそると』を立ち上げました。
 ヘルスケアの分野のなかでもニッチな「減塩」という領域で、どのようにサービスを開始するか。その挑戦にビジネスコンテスト参加時から寄り添ってきたテックファームホールディングス(以下:テックファーム)新規事業プロデュース室のプロデューサー・矢部翔一を交え、『さがそると』のこれまでの足取りや、今後の目標についてお話を伺いました。
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技術ではなく“ビジネス”の観点から事業をサポート

湯野川 塩分コントロールは糖質制限やカロリー制限に比べると当事者が少なく、情報へのアクセスも大変です。私も当事者として歯がゆい思いをしてきました。それならいっそのこと「減塩に役立つレシピや、食事管理の工夫をシェアできるサービスを自分で作ってしまおう」と、経済産業省のビジネスコンテストに応募したのが昨年のこと。コンテスト自体はアイデアを競うものだったのですが、次第にアプリの試作品を作りたくなり、パートナーを探すなかで出会ったのがテックファームさんでした。

矢部 私たちも最初は純粋にアプリの制作をお手伝いするつもりだったのですが、お話を伺ってみると、むしろ事業化に向けた枠組みづくりのサポートを必要とされているように感じました。そこで、『さがそると』というサービスを、減塩が必要なユーザーの“コミュニティ”として発展させるアイデアを提案しました。
 たとえば、減塩生活をしているユーザーが自ら考案した減塩レシピを投稿し、シェアしあうサービスがあれば、減塩当事者の「情報不足」を解決できます。湯野川さんご自身も感じていたという、身近に減塩生活をする仲間がいないという不便さや孤独感の解消にもつながります。「みんなでつくるさがそると」というサービスコンセプトは、こうした着想から徐々に生まれてきました。

湯野川 個人的には、コンテストを勝ち上がっていく上で、ビジネス的な観点からアドバイスをいただけたことが、とてもありがたかったです。『さがそると』がユーザーに求められているサービスだという確信はありましたが、具体的にどうやってユーザーに届け、マネタイズすればいいのかは見えていませんでした。
 高血圧予備軍の方も含めると4000万人もの潜在的な減塩ユーザーがいるという市場分析や、食品メーカーとユーザーとをつなぎ、商品開発に協力することでマネタイズする手法。テックファームさんのアイデアは、私に欠けていたビジネス的な視点を補ってくれるものばかりでした。やりとりを繰り返すうちに、作りたいサービスのイメージが自分のなかでも具体的になり、実現に向けてぐっと弾みがついたのを覚えています。

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▲実際に使用したプレゼン資料。なぜ『さがそると』のようなサービスが必要なのか。客観的なデータを用いてわかりやすく整理しています。

アナログな方法こそが、最適なアプローチだという発見

矢部 コンテストでは無事にファイナリストにも選ばれましたが、そのままアプリ開発へと進んだわけではありませんでした。

湯野川 『さがそると』のユーザーはどういう人なのか。その人たちはどんな課題を抱えているのか。本当にアプリ開発がベストなのか。そうした疑問について、開発に進む前に徹底的に話し合いましたね。

矢部 まずはスモールスタートで事業化していきたいという意向は湯野川さんと共有していましたが、問題は減塩当事者の方々にどうやってリーチすればいいのかということでした。アプリを作ったとしても、それを知ってもらえなければ意味がありません。知恵を絞るなかでたどり着いたのが、紙のリーフレットを使った医療機関へのアプローチでした。

湯野川 潜在的なターゲットに一番アプローチしやすい場所は、やはり医療機関です。医師の方々からの協力を取り付け、患者さんに『さがそると』を周知してもらえれば、効率良くサービスを広められるのかなと。

矢部 紙媒体を使うアイデアは湯野川さんが出してくださったものでした。医療法人で働いていて医療の現場をよく理解されているからこその着想です。

湯野川 お医者さんは、患者さんに「アプリをダウンロードしてね」と伝えても通用しないことを日々の経験からよく理解しています。リーフレットであれば、診察の際にさっと手渡せますし、受付に置くだけでいいので、病院側の負担にもなりません。テックファームさんには、「今さら紙?」と指摘されないかドキドキしましたが……(笑) デジタルの施策でなくとも柔軟に対応していただき、とても心強かったです。

矢部 サービスに対する湯野川さんのビジョンやゴールイメージが非常にはっきりとしているので、アプローチがデジタルかアナログかは特に問題ではありませんでした。むしろ紙媒体というアイデアは我々にとっても盲点で、現場の知見がいかに大事かということを改めて実感しましたね。

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 減塩生活を楽しんでもらうため、またサービスに親しみを感じてもらうために、テックファームのデザイナーがマスコットキャラクターを提案。「さがそるとちゃん」というキャラクターが生まれました(画像は開発途中のラフスケッチ)。
 今後は減塩生活する上での課題や「あるあるネタ」を、キャラクターを用いた4コマ漫画などで紹介することも想定しています。

技術とビジネス。自分たちの強みを再認識できた

湯野川 新型コロナウイルスの影響もあり、現在は直接手渡しするリーフレットではなく、Webサイトの開発の方を進めています。世間的にもオンラインでの情報発信・情報収集の重要性が改めて見直されているので、当初の目的だったコミュニティづくりを実現する上ではむしろチャンスだと捉えています。
 Web開発に関しても、さすがプロフェッショナル。安心してお任せできます。サービス展開についてのアドバイスも的確です。テクノロジーとビジネスの両面から、プロジェクトを支えてもらっています。

矢部 テクノロジー企業としてさまざまなビジネスの最前線に関わってきた経験が活きています。テクノロジーだけを扱うIT企業や、ビジネスだけを扱うコンサルティング企業とは異なる強みです。湯野川さんからも指摘があったとおり、医療やヘルスケアはまだまだアナログ優勢な領域です。だからこそ今から参入することで、いち早くこの領域での知見を蓄えていきたい。予防という観点から見れば、今後は当事者以外のユーザーも獲得できるでしょうし、「体調管理」は現在とてもホットなトピックです。そうした意味でも、今回のコラボレーションは弊社にとって大変貴重な機会となりました。

 アプリやシステムといったソリューションそのものは、各社で内製化の流れがさらに進んでいくため、技術を提供するだけでは、いつかお客様から必要とされなくなるかもしれません。そんななかで、テックファームホールディングスが提供できる価値は何なのか。答えのひとつがマーケティングやブランディングなどを含む、「サービスをユーザーに届けるためのノウハウ」です。
 社会的に意義のある事業を、テクノロジーとビジネス展開の両面からサポートする。それによって世の中に新たな価値を届ける。『さがそると』プロジェクトは、そんな新規事業プロデュース室の役割を改めて見つめ直すきっかけになりました。新たなビジネスを始めるなら、テックファームに相談しよう。そんな風に思っていただけるよう、今後も新規事業のサポートにチャレンジしていきます。

湯野川 恵(ゆのかわ めぐみ)

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 神戸大学法学部卒業後、外資コンサルティングファームに入社。入社前健診で特発性拡張型心筋症を患っていることが判明し、同年12月には突然の致死性不整脈により路上で心停止状態に陥る。奇跡的に一命をとりとめたものの、止むを得ず退職し、当時通院していた「ゆみのハートクリニック」を通じて医療法人社団ゆみのに入職。治療中の食事管理に苦しんだ経験から、塩分管理サービス『さがそると』を考案する。
 経済産業省主催『ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト2020』において、アイデア部門ファイナリストに選出。現在は、プロジェクト実現に向けて活動している。

 

矢部 翔一(やべ しょういち)

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 2012年、テックファームに営業職として入社。動画を使った提案手法で顧客の心を掴み、数々の大型案件を受注する。顧客へのきめ細かなフォローだけでなく、組織内の開発ディレクションなどの職域を超えた貢献が認められ、2017年に年間MVPを受賞。2018年にはテックファームホールディングスに転籍し、新規事業プロデュース室のマネージャーに就任した。ビジネス設計を得意とし、事業の企画立案から開発サポートまで幅広く手掛ける。外出自粛で悩む飲食店を支援するサービス『WINE KEEP』や、消費者と大田市場の生鮮食品をつなぐ通販サイト『大田市場直送.com』をはじめ、多数の新規事業を推進中。

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