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2016/10/14

自動車整備工場から、次の時代の「当たり前」を

この記事のポイント
  • ❶ IT化が進まない自動車整備工場
  • ❷現場の声を反映したソフトウェアが必要
  • ❸求められているのは、業界の新たなスタンダード

自動車業界におけるIT化の波から取り残されている自動車整備工場。遅れの要因は、ITソリューションの提供者側が、整備の現場を把握できていないことにあります。業界を熟知したソフトウェア開発会社と整備工場とが手を組むことで、業界にどのようなインパクトが与えられるのか。その可能性に迫ります。

ITの導入が進まない理由とは?

急速にIT化が進む自動車業界の中で、例外的にITの導入が遅れているのが自動車整備工場です。IT化が遅れている理由は2つあります。

1つ目は、自動車業界全体の構造的な問題です。自動車業界に新たな技術が導入される際、多くの場合はトヨタやホンダといった大手メーカーが先陣を切ります。その後、メーカー直系のディーラーやサプライヤーが、メーカーのサポートを受けながら技術への対応を進めます。しかし、自動車整備工場は、特定の自動車メーカーに属しているわけではないため、技術導入のサポートが得られません。また、メーカーごとに異なるパーツの規格にも対応しなければならないため、その分IT化への負担が大きいのです。

IT事業者は、現場の声を聞かなければならない。

もう1つの理由は、IT化を実際に推進するソフトウェア開発者が、自動車整備工場で行われている業務の実情を理解していないことです。IT化を進めようと意気込んで参入しても、自動車業界特有のノウハウや知識がなければ、実際に現場で活用されるソリューションを生み出すことは難しくなります。

たとえば、既存のタブレット端末を活用したソフトウェアを想定します。作業しながら手元でデータなどを参照でき、一見便利に思えますが、整備士にとっては「手は作業のために常に空けておきたい」「手は汚れているので画面に触れたくない」といった不具合が生じます。そうなると、現場に最適な端末は、音声入力で動くソフトウェアかもしれません。現場の声をヒアリングしなければ「本当に求められているソリューション」を理解しないままに製品を開発することになりかねません。

ITの力で、業界の新たなスタンダードを作る。

そうした課題をクリアするために必要なのは、自動車業界の課題を熟知した企業と、ソフトウェア開発のノウハウのある企業が連携し合うこと。EBE(イーバ)と、最先端の技術を持つテックファームが手を組んだ背景には、そんな問題意識がありました。

メーカーごとに規格が統一されていない現状は、自動車整備工場にとってはむしろチャンスです。自動車の点検、分解、整備、塗装から、自動車保険や中古車の販売まで、幅広い業務を行うなかで、メーカーの枠を越えたデータが大量に集まる整備工場だからこそ、業界のスタンダードを作ることが可能です。テクノロジーの力で、自動車業界の新たな「当たり前」が生み出される日も、そう遠くはないでしょう。

※本記事は2020年12月に再編集・修正しました。
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