自動車ディーラーの主力は販売から整備業へとスイッチする

2016年03月25日

[自動車アフターマーケット]

 自動車の白物家電化と良く言われている。確かに車への憧れや価値観は大きく変わったかもしれないが、販売ルートは白物家電のように変わっていない。以前、家電製品はそのメーカー系列の販売店でしか手に入れられなかった。しかし大型家電量販店の登場によって、流通形態が大きく変わり、様々なメーカーの品物を1ヵ所で比較購入できるようになった。その結果、価格競争が起きてメーカー系列の小規模販売店の販売は立ちゆかなくなり、修理などや工事などに力を注ぐようになった。

 では、自動車はどうだろうか。新車の自動車を購入する場合は、その自動車メーカー系列のディーラーに行って購入するのが一般的だ。最近では一部の量販店で新車販売を行っているが、結局のところ、ディーラーから車を購入しているのだ。自動車を購入するには、現在でも購入を検討している自動車メーカーのディーラーに行かなければ購入することができないという流通形態が維持されている。

 その流通形態が維持されている理由は、自動車は購入後にナンバー登録をしなければならないこと。そして定期点検や車検といった国が定めた試験などにパスしないと走行できないという決まりがあるからだ。自動車ディーラーは新車を販売し、定期点検、3年後の車検そして消耗品の整備、交換など一度ユーザーを獲得すれば、1台の車を通じて何度もお金を落としてもらえる機会を得ることができるというわけだ。

 しかし、この勝利の方程式と言えるサイクルが徐々に崩れ始めている。これまで、自動車は4年に一度世代交代となるフルモデルチェンジを行い、ユーザーの購入意欲をそそってきた。だが、景気の後退や自動車の性能向上によって壊れにくくなったこともあり、自動車の保有年数がどんどん延びているのだ。

 普通車と小型車の車種別平均車齢(平均車齢とは国内で、ナンバープレートを付けている自動車が初度登録されてからの経過年数の平均で、人間の平均年齢に相当する)見てみると、現在から30年の1985年(昭和60年)の時点では4.57年で、1995年(平成7年)までは4.88年で大体購入してから約5年で買い替えられていた。しかし15年前の2000年(平成12年)で5.84年、2005年(平成17年)では6.77年と車齢は加速度的に延び始め、2010年(平成22年)は7.56年、昨年の2014年(平成26年)には8.13年まで延びている。

 この数字は一度新車を購入すると、車検を3回通し、8年以上乗り続けるということを表していて、30年前から約1.6倍も保有期間が延びていることになる。これが自動車のモデルサイクルを長引かせる原因となり、新車ディーラーの収入源の方向変換を図るきっかけとなったのだ。

 新車ディーラーの収入源の方向変換とは新車販売よりも、既存顧客の流出を防ぐために整備や車検などの整備業に力を注ぎ始めたのだ。事実、新車ディーラーにおいて、営業マンは新車1台販売するインセンティブより、整備や車検の顧客を呼び込んだほうがインセンティブは高くなっている。

 つまり、新車ディーラーにおいて販売よりも整備や車検のほうが重要視されているという現実があるのだ。しかし、整備や車検はすべて自動車ディーラーで行っているわけではない。多くの自動車ディーラーは下請けとなる自動車整備工場を抱えており、その下請け先に仕事が廻ることが増えている。

 自動車整備工場には指定工場と認証工場という2つの種類があるが、2000年(平成12年)当時は指定工場が2万6927、認証工場が8万7076だった。それが2010年になると指定工場が2万9224、認証工場が9万1935と増加し、昨年の2014年には指定工場が2万9746、認証工場が9万2252と増加の一途を辿っている。日本国内のある自動車ディーラーは約1万6,000拠点と言われているので、自動車整備工場がどれだけ多いかがわかっていただけるだろうか。

 自動車産業は全然斜陽ではないと前回書いたが、自動車整備工場の増加傾向という事実を見ても、まだまだ自動車産業は成長の可能性があるのだ。 景気の反映と自動車の性能向上によって平均車齢は今後も延びていくのは確実。そうなると、自動車ディーラーは販売よりも、車検や整備に一層力を入れていくことになる。その時に重要なのはどれだけの自動車整備工場を抱えていられるかどうかにかかってくる。今後は裏方である自動車整備工場の重要性が増していくと考えられる。

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