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2020/01/16

進化を続けるスマホセンサーの未来やいかに?

この記事のポイント
  • ❶現在のスマホセンサーの実力は?
  • ❷注目株は「U1チップ」と「Soil Radar」
  • ❸5G化、IoT化でさらなる進化を

スマートフォンは、端末にさまざまなセンサーを搭載することで、その活用範囲を拡大し続けてきました。2020年には5Gサービスが始まり、IoT化もさらに加速。今後、スマホセンサーはどのような進化を遂げるのでしょうか。その未来を考えます。

既存のスマホセンサーも、実は十分に優秀。

スマホ初期から搭載されている、加速度・ジャイロ・地磁気センサー。それぞれが3次元方向の動きを感知することから、3種類×3軸で9軸センサーとも呼ばれてきました。9軸センサーはGPSと連動し、利用者の動きや現在位置、スマホの縦横状態、動かし方などを検知します。気圧センサーもスマホ初期から搭載されているセンサーのひとつ。微小な気圧の変化から、標高の変化を検知します。

より正確な位置情報の把握を叶える「U1チップ」。

iPhone11シリーズに搭載された「U1チップ」は、超広帯域無線(UWB)を利用するために開発されたICチップです。数百MHzから数GHzまでの幅広い周波数帯域を誇るUWBを活用することで、近くにある端末同士が互いの位置を誤差30cmの精度で特定できるようになりました。

U1チップを搭載しているiPhone同士であれば、位置だけでなく、端末の向きも正確に特定。きちんと向き合っているかどうかも判定できるため、AirDropを使って無差別に迷惑画像を送りつける「AirDrop痴漢」の抑制にもつながります。スマホに限らずさまざまなデバイスやタグにU1チップが搭載されるようになれば、搭載機器が互いの位置を数cmの精度で特定できるようになるでしょう。忘れ物防止や子ども・ペットの位置追跡、スマートキーなど、さまざまな活用方法が期待されています。

周囲の物体を3Dで検知できる「Soil Radar」。

Google Pixel 4シリーズはレーダー機能を備えた初めてのスマホです。高周波数の60GHz帯を使用することで、周囲の物体を立体的に検知する「Soil Radar」を搭載しています。10年以上前から自動車の「前走車追従型クルーズコントロール」などに用いられてきた技術ですが、ここ数年で一気に進歩し、スマホに搭載できるまでに小型化・低コスト化しました。

Soil Radarは、周囲の物体の位置だけではなく形状も認識します。本体に触れずにジェスチャーでスマホを操作できる「Motion Sense」機能をPixel 4で実現できたのも、顔や手、指などの形や動きを正確に検知できるSoil Radarが搭載されているからです。

人の動きや表情をセンサーで検知する技術は、テレビ音声などによるスマートスピーカーの誤作動の抑制などにも応用できるでしょう。サービスや商品に対するユーザーの満足度を、表情から読み取って点数化する仕組みなどもつくれるかもしれません。暗いところで使えることも強みのひとつ。さまざまに応用できる可能性を秘めています。

2020年以降も期待される、新たなサービス展開。

スマホセンサーの可能性をさらに広げる技術として話題なのが、Amazonが2019年9月に発表した「Sidewalk」という通信方式。900MHz帯を使ったLPWA(Low Power, Wide Area)で、その名の通り低消費電力で広い通信エリアをカバーできることが特長です。LPWAは、IoTネットワークの構築を低コスト化する技術としても期待されています。「U1チップ」や「Soil Radar」を搭載したスマホと連携すれば、より便利で快適な暮らしをかなえるさまざまなサービスが生まれるでしょう。

5Gで、データ通信はさらに高速・大容量化していきます。さまざまな分野で自動操作や遠隔操作が実用化され、IoT化もさらに加速するでしょう。それに従ってスマホセンサーのニーズもさらに高まるはず。スマホセンサー技術の進化から、今後も目が離せません。

※本記事は2020年12月に再編集・修正しました。
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