G2E (Global Gaming Expo) 2015視察レポート

2016年01月26日

[カジノマーケット]

 ネバダ州ラスベガスの暑い夏がようやく終わりを迎えるかという9月の末、今年もGlobal Gaming Expo (G2E)が開催された。その様相について、実際に過去5回足を運んできた筆者が簡単にレポートしたい。

世界最大規模のカジノ業界トレードショー

 G2Eは世界最大規模のカジノ業界向けトレードショーで、ここ数年は毎年9月最終週頃にラスベガスで開催されている。トレードショーであることから来場者の多くは出展者の招待客であることは容易に想像できるかと思うが、その数は昨年度で25,000人以上、今年の実績は当記事執筆時点では未発表であったものの、開催前のローカル紙記事によれば30,000人以上が見込まれていた。(2015.6.16リビュージャーナル紙)

 同じG2Eでも、毎年5月にマカオで開催されるG2E ASIAの入場者が今年過去最高の約10,000人を記録したが、それに比べると本会は入場者数観点で約3倍もの規模を誇り、またこれは毎年ロンドンで開催されるICE Totally Gamingと比較しても同等以上であることから、世界最大のゲーミング・トレードショーとも言われている。

 内容的には、スロットマシンなどのゲーミング機器をはじめ、施設内の広告用ディスプレー機器や什器、スタッフのユニフォームや提供される飲み物まで、それこそカジノに関するあらゆるものが展示される。昨年から新しくi-ゲーミングという区分でソーシャルゲームやオンラインゲームのエリアが新設されたのに加え、今年はIntegrated Resort Experience(IRE)と名付けられた特設会場も用意されていた。IREというテーマは、ここラスベガスでは特に目新しいものではないのだが、今になってわざわざそうしたテーマの特設会場が用意されたのは、昨今日本における通称カジノ法案の議論の過程でIntegrated Resort(IR)という単語がキーワードとして使われていることや、また他のアジア圏諸国でも同様の巨大施設の建設が進められていることと無関係ではなく、主催者側がそうしたアジア圏からの来場者を少なからず意識しているであろうことは容易に想像できる。筆者の実際の印象としても、今年は過去5年間のうちで日本人と思われる入場者が最も多く見受けられた。

業界内での巨大企業再編後、初の展示会

 今年のG2Eは、IGT社やScientific Games社、Everi社などの業界内の大規模企業再編後の初のG2Eでもあり、そうした激動の最中にある業界が、今後どういう方向に向かっていくのかを占う場でもあったように思える。そういう意味では、今年のG2Eでは個人的には次のような特色を感じた。

(1)スキルベースゲーム

(2)イベント関連製品

(3)決済サービスの増加

 ここで、(1)については別途後述するとして、先に(2)イベント関連製品と(3)ペイメントサービスの増加について所感を述べたい。
(2)イベント関連製品としては、まずはスロット・トーナメント機器があげられる。イベント専用機ではなく通常は普通のスロットマシンとしても使用可能で、イベント時以外でもその場所と機器を有効に活用することが可能だ。集客力と稼働力の双方を兼ね備えた、カジノの戦略・戦術に見事にマッチする製品だと言える。他には、対象となるスロットマシンの照明と音楽をシンクロさせ、音と光で空間を演出できる製品が印象に残った。いずれも、ギャンブルというスロットマシンのゲーム性そのものではないところを活用した製品だと言えるところが非常に興味深い。

 (3)決済サービスの増加については、この数年でオンラインカジノやモバイルカジノが少しずつながらも広がってきている影響であろう。既存のスロットマシン等のように現金やバウチャーを投入する訳にはいかないので、そうしたサービスの需要と供給が生まれてくることは不思議ではなく、むしろ自然であると言える。

スキルベースゲーム時代の幕開け!?

 最後に、(1)スキルベースゲーム、つまり技術介入余地のあるゲームについて述べておきたい。客層の高齢化が進むアメリカのカジノ業界においては、ミレニアム世代と言われるような若年層をいかに獲得していくかという目的でこの数年活発に議論されてきた。これまでのスロットマシンは、規則によりその勝ち金額は確率に支配されてきたが、スキルベースゲームはそこにプレイヤーのゲーム技術が勝ち金額の大きさに影響するようにしたものである。特定の出目が揃った場合などに移行するボーナスゲーム時にそのような要素を取り入れることで、家庭用ゲーム機やスマホアプリなどで育ってきた層への訴求力を高めるものと期待されている。

 今回の会場では、実際にインベーダーゲームやピンボールなどがフィーチャーされた製品が展示され、また一方では対人戦型の新しいタイプのポーカーゲームなどもあった。この対人戦型のゲーム機は、ポーカールームのように複数人でプレーし、その掛け金の一部がカジノに入る仕組みなのだが、こうした種類のゲームまでもがスキルゲーム機として登場するとは思っていなかったというのが正直なところである。

 現時点ではまだまだ各社手探りのような気配は感じられるものの、将来のゲームコンテンツの可能性が垣間見えたような気もする。近年のスロットマシンの新製品は、映画やドラマなどのコンテンツとのコラボ製品や、ディスプレーの数量・形状等による差別化が多く見られたが、今後はもしかしたら、家庭用ゲーム機やスマホアプリとのゲームコンテンツ同士の直接的なコラボ製品が増えてくるのではないか?スキルベースゲームの導入がカジノで認められれば、そうしたゲームコンテンツについては家庭用・スマホゲームに一日の長があることは否めない。既存の家庭用ゲームメーカーがカジノ業界に直接参入し、直接スロットマシン等を製造・販売することは、業界のメーカーライセンスの問題もありハードルが高いかもしれないが、そのゲーム性をスロットマシンメーカーにライセンスすることなどは、お互いにメリットがありそうに思える。あるいは、そうしたものを目的とした新たな企業再編が続々と起こっていくのかもしれない。そうした企業再編は、もともとスキルベースゲーム要素を含有していた日本のパチンコ・パチスロ業界においては既に過去に経験してきたことでもあり、海外のゲーミング業界でもソーシャルゲームとカジノゲームの買収・合併等はこの数年多く実施されてきたが、今後もそれに拍車がかかる可能性は小さくないのではないか。

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