IoT事例:オフィスワーカーの“困った”を助ける「トイレIoT」Part2

2019年02月06日

[サービス]

Part1に続き、テックファームでのIoTに対する取り組みの実例についてご紹介しています。

問題発生!?

 紀尾井タワーのトイレにセンサーを付けて混雑状況をモニターする企画=トイレIoTプロジェクトは、サービスインまで1か月余りとなり、順調に進んでいるように見えた。しかし実のところ、営業担当者は困惑していた。というのも、プロジェクトで採用する通信方式をSigfoxから別のものに替えようと、技術担当者が提案したからだ。
 Sigfoxは、IoT系システムで非常に注目される超低価格の通信規格である。通信料金は年額100円~、電池で約10年持つ低消費電力、伝送距離は最大50kmという特徴から、前段の実証実験システムで採用されていた。低価格であり、実験で採用され実績のあるものを替えようと提案することは、営業担当者としては出来れば避けたい事態だ。

 しかし、テックファームが請け負ったプロジェクトの本質は「オフィスワーカーの“困った”をなくす」ことであり、その点でSigfoxより適切な通信方式があると技術担当者は考えた。コスト面でも同等レベルである「LTE SIM」(LTE SUBドングル)だ。Sigfoxの通信回数が1日最大140回であるのに対し、LTE SIMは携帯・スマホで用いられている回線網を使っているため、回数制限がなく通信の安定性の面でも申し分ない。
 紀尾井タワーは1フロアに数百人が入居しており、各階のトイレには男女計14個室がある。おそらく1日の個室利用回数はフロア単位で140回を軽く超え、Sigfoxの通信回数では足りないだろうという見立てだった。仮に制限に引っかかれば、夕方頃には140回目の「閉まった」状態のまま通信がなされず、以降ずっと「トイレが閉まったまま」(=満室)と認識される可能性がある。オフィスワーカーはビルの外にまでトイレを探しに出なくてはならない、大変“困った”状態になってしまうかもしれない。
 そこで技術担当者はSigfoxをLTE SIMに置き換えることを提案。最終的にメンバー全員、そして西武プロパティーズの了承を得ることができ、開発は佳境を迎えることとなった。

UI/UXの工夫

 トイレの満室・空室を混雑状況としてユーザーに示すUser Interface(UI)は、手元の端末で分かりやすく即座に表示させることが求められる。さらに男女の別、オフィスワーカーの年齢層、入居企業の業態(朝型や夜型)といったユーザーの特性や事情を想像しながら、トイレを利用する中で得られる経験・体験=User eXperience(UX)についても十分に検討し反映する必要があった。
 まず取り掛かったのは、入居企業社員がPCやスマホから閲覧する画面で、各フロア男性用6個・女性用7個・多目的1個の計14個のトイレの満室・空室を如何に表示させるかであった。誰もが使う公共のトイレであれば、個室一つずつが「満」か「空」かを表示させる手もあるだろうが、ここはオフィスビルだ。最新のオフィスビルはたいていオフィスエリアに入館ゲートが設置され、容易に一般人が入ってくることはない。紀尾井タワーもこの構造であり、かつ1フロアに入居するのは1企業という状況だ。入居企業によっては複数フロアにまたがる。つまり、トイレを使用するのはそのフロア入居企業の社員達ということだ。そのため社員間の一定のプライバシー保護の観点から、個室毎に満空を表示するのではなく、男性用であれば6個の全てが使用中の場合に「満室」、全てが未使用で「空室」とした。

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▲満空を表示するWebサイト画面

 さらにUI/UXで工夫したのが、「混雑」という満と空の中間的な表示を入れたことだ。しかも、その「混雑」のしきい値をいつでも管理者が設定できるようにした。このような満・混雑・空という表示パターンを用いたのは、特に女性への配慮がある。オフィスビルはある種の閉鎖空間でもあり、完全に「空室」として表示してしまうとフロアのトイレが無人であることを示し、いたずらなどのリスクがあるからだ。
 また、特に男性には経験があるのではないだろうか。自身の机があるフロアのトイレが全て満室の場合、空くのを待つか他の階へ行くかはギリギリの選択だ。トイレIoTなら、仮にその極限状態にある男性オフィスワーカーは、上下階が「空」か「混雑」であるかをPCやスマホ画面で見て、直ちに階を移動できる。

 次に検討したのは、入居企業経営者やビルオーナー(西武プロパティーズ)が、トイレの使用状況を全体的に見たり、混雑のしきい値を設定変更したりできる管理者向けインターフェースだ。紀尾井タワーでは、今回対象となる5階~28階までに3つの企業が入居しているが、ユーザー向け・管理者向け双方の画面アクセスは自社社員のみとなるようアクセス制限を設けた。また管理者画面には、過去の蓄積されたトイレ満空の状態を時間や曜日などで分析できるよう、ダッシュボードライクな機能も備わっている。これは、単にトイレの使用状況をモニタリングするに留まらず、将来のビッグデータ解析により従業員の働き方にも影響があると予見してのことだ。
 これら様々な配慮や検討をユーザーインターフェースに反映し、いよいよ実際のテストへと突入していった。

・・・ To Be Continued.

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