インフラ・農業など大きく拡がるドローン活用の市場

2018年05月25日

[サービス]

みなさんは、飛んでいるドローンを見たことがありますか?

実際に飛んでいるところは見たことがないという方が、意外と多いと思います。しかし、私たちの知らないところで、空撮や災害救助、インフラやプラントの点検、地図作成、農業などさまざまな用途に使われています。

用途によってさまざまなドローンが活躍

 ドローンとは、無人飛行機全般を指します。よく知られているのが、複数のプロペラを搭載したマルチコプター型です。プロペラ音が雄バチ(drone)の羽音に似ているため、こう呼ばれるようになりました。ほかにも、飛行機のような固定翼を持つものや、ビルなどの壁に張り付いて飛ぶもの、水中用など多種多様な機体が登場しています。

 ドローンは飛ばすこと自体が目的ではなく、映像を撮影する、荷物を運ぶといった仕事をこなすための道具であり、機体の形状や機能はどんどん進化します。例えば、マルチコプター型には3基以上の回転翼が付いています。翼の数が多いほど風の影響を受けにくく安定飛行できるため、プロ仕様の機種には多くの回転翼を持つドローンが登場しています。大きく重い荷物や装備を搭載するため大型の回転翼を持った機種もあります。

高度な自律制御技術を備えたロボット

 ドローンをラジコン飛行機と比べたときの最大の違いは、自律制御機能です。機体に搭載されたGPSや加速度センサー、ジャイロセンサーなどから集めたデータを解析して、自機の位置や姿勢を正確に把握します。その情報を基に飛行する速度や方向、高度、姿勢などを自律制御することで、風に煽られても正しい姿勢や位置を維持し、重い荷物を積んでいる時も、積んでいない時も、変わることなく運航できます。つまり、現在のドローンは、空中で自律性を保てるロボットだと言えます。

 自律制御機能によって、高度な操縦スキルがなくても利用が可能になります。近年は、操縦者を自動追尾する、建物や他の機体などとの衝突を防止する、経路や目的地を指定するだけで飛行するなど、より安全性と操作性を高める機能が搭載されるようになっています。

サービスの市場規模はさらに拡大中

 ドローンは、第二次世界大戦中のアメリカで軍事用の無人航空機として開発されました。その後、高性能化・小型化が進み、技術が民間用に転用されていきました。そして、自律制御技術の発達とともに、用途と利用者が広がっていきます。爆発的に普及するキッカケとなった民生用ドローンが登場したのは2010年で、フランスのParrot社が、カメラを標準搭載し、スマートフォンで操作できるドローンを発売しました。そしてDJIなど多くの企業が、安価で使いやすいドローンを次々と市場投入。なかでもDJIは、低コスト化と使い勝手の向上に積極的で、今ではドローン市場の約7割のシェアを占めるまでに成長しています。

 2013年には、アメリカのAmazon社がドローンで商品の配達を検討していることを公表。当たり前のようにドローンが使われる未来を提示したことで、認知度が一気に高まり、これまで空の利用など考えもしなかった多くの業界で、ドローンの応用が検討されるようになりました。

 コンサルティング会社のPwCが発行したレポートでは、ドローンを活用したサービス市場の規模は、将来は約1,273億ドルに達すると予測されています(*1)。ドローン市場の成長が本格化するのはこれからです。

産業用ドローンが市場の拡大を牽引

 ドローンは、大きく個人用と産業用の2つに分かれます。このうち、近い将来の用途拡大と利用者増が期待されているのが、産業用ドローンです。PwCの予測によると、ドローン関連のサービス市場のうち、452億ドルをインフラやプラントの点検など社会基盤の維持、324億ドルを農業での活用が占めるといいます(*2)。

 個人が趣味の空撮などに利用するドローンは、数万円〜20万円以下で入手できるようになりました。これに対し、産業用ドローンは100万円〜1,000万円とケタ違いです。供給しているメーカーも、DJIのように個人用も産業用も手掛けるところと、PRODRONEのように目的に特化した産業用機種を開発しているところがあります。

 個人用と産業用の価格差は、大きく3つの点から生じます。まず、産業用では回転翼の数を増やして出力も高めることで、飛行安定性の向上と大型の貨物/装備の搭載、オプション装備を追加しやすくしている点です。次に、搭載しているカメラの解像度向上や複数搭載、高性能なジンバル(カメラのブレを軽減する装置)の搭載など。そして、天候の変化などに対する耐久性や信頼性です。

産業用ドローンで重要となる制御システム

 機体スペックの違い以上に、個人用と産業用では、機体の運航や利用時に取得したデータを活用するための情報システムに大きな違いがあります。産業用は、機体に搭載された制御用ソフトウェアとクラウドが無線でつながれた、かなり複雑なIoTシステムです。

 現時点で多くの個人用ドローンは空撮に使われているため、機体と制御用ソフトウェア、運用情報や映像データを蓄積/管理するクラウドの仕様やシステム構成をドローンメーカーが考え、初心者でも利用しやすい形でユーザーに提供しています。

 一方、産業用ドローンの利用シーンは千差万別です。作物の生育状況を把握する農業用、重い荷物を運ぶ物流用、橋梁の下に回り込んで老朽化の度合いを調べるインフラ点検用など、運航する環境も情報収集能力も大きく異なります。このため、機体はドローンメーカーが開発したとしても、運航や運用に即した情報システムは活用現場のニーズを熟知した上で構築する必要があり、制御用ソフトウェアは、特定分野にフォーカスした専門性の高いプロバイダーが開発/提供しています。

*1:2016年5月9日PwC調べ(英語)

“Global Market for Commercial Applications of Drone Technology Valued at over $127 bn”

※PwCコンサルティング合同会社の2017年1月12日付プレスリリース

『PwCコンサルティング、「ドローン・パワード・ソリューション」を提供開始』より

https://www.pwc.com/jp/ja/press-room/drone-powered-solutions170112.html

*2:PwCのレポート「Clarity from above」

https://www.pwc.pl/clarityfromabove

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